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2013年6月5日水曜日

Q258 嘘をついた証人



刑事になって間もない俺に、2人組の強盗が、銀行からお金を奪って逃走したとの無線が入ってきた。
俺は急いで現場に向かうことにした。

パトカーで現場近くをうろついていると、太って大柄な男と、背の低い男の2人組が、急に駆け出すのが見えた。パトカーを見て驚いた犯人だろうか。俺はパトカーから降りて、急いで二人を追った。
しばらく走って追いかけていると、2人組が二手に分かれた。俺は少し峻巡した後、太った大柄の男の方を追うことにした。
そいつは妙にすばしっこく、逃げられるかと思ったその時、走ってきた自転車にぶつかって宙に浮いた後、近くの壁にぶつかって倒れ込んだ。
そいつの側に寄ってみると、悪運強く、傷らしい傷を負っていなかったが、盗んだお金は持っていなかった。おそらくもう一人の犯人が持っていたのだろうが、そいつには逃げられてしまった。

とりあえず犯人の一人は捕まえた。俺は次に、証人を見つけて来ることにした。犯人は目だし帽で犯行におよび、外に出たところで逆に目立つので捨てたらしい。その瞬間を見た証人を見つけられれば、立証は簡単になる。

俺は現場に戻って周囲の聞き込みを始めた。どれだけ時間がかかるかと思っていたが、思いの外早く見つかった。とある男が、目だし帽を脱ぎ捨てる瞬間と、犯人の顔を良く見たと言う。俺は彼に証人を頼むと、彼は快く了解してくれた。

拘置所での面通しをすることになった。
証人に捕まえた男を見せると、

「あの顔には見覚えはある。それに確か、右胸に入れ墨があるはずだ」

と述べ、確かめたところ、確かにその入れ墨が彫ってあった。
彼が犯人と考えて間違いないと俺は確信した。

裁判の日がやって来た。証拠が思った以上に少なく、有罪に出来るかは証人次第だった。
証人が、裁判官に証人席に来るよう呼ばれた。
捕まえたこの太った男が有罪になるのは間違いないだろう。そう思って傍聴席に座っていると驚くべき出来事が起こった。証人が太った男に向かって、この人は私が見た犯人じゃないと言い出したのだ。法廷内は大騒ぎだ。結局確かな証拠がないということで、太った男は無罪になってしまった。

裁判所を出て頭を冷やそうとしばらくゆっくり歩いた。
そこでふとある可能性に気づき、事件が全てわかった。
つまり証人は、

1、犯人に買収されていた
2、本当は見ていなかった
3、実は犯人だった

のだ!




答え:3

そう、あの証人こそ、この銀行強盗事件の犯人だったのだ。
すぐに気づくべきだった。犯人に胸の入れ墨があるのを知っているのがおかしかったんだ。何故、服の中の様子まで知っていたのか、それは二人が知り合いだったからに間違いない。

俺は裁判所から帰ろうとする証人の後をつけていった。すると寂れたアパートの中に入っていった。
しばらく様子をうかがっていると、さっき無罪になった小太りの男がやってきて、証人の入ったアパートに入って行くではないか。
大家に話をつけて、部屋の様子を調べにいくことにした。ドアに耳をつけて中の会話を必死に聞き出そうとすると、お金を山分けするとかそういう話が聞こえてくる。この部屋に盗まれたお金があるのか!俺は上司に連絡をした後、ホルスターから拳銃を取りだし、ドアを思いきり蹴破って中に入った。

「動くな!」

拳銃を二人に向けると、椅子に座っていた二人は、驚いた様子で両手を上げた。テーブルにはカバンと、山ほどの札束が積み上げられていた。
やっぱりこいつらが犯人だったんだ。パトカーのサイレンの音が聞こえてきた。これで全て解決だろう。
 
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